顕微鏡とは何ですか?
見えるもの
顕微鏡は、小さくて見えないものを大きくして人間の眼で見えるようにする装置である。
肉眼で見える大きさは0.1mm(100μcm)程度、ちょうど細い髪の毛の太さぐらいである。これ以下のものは肉眼で見ることはできない。
- 光を用いる光学顕微鏡の場合、一般的に数十倍から1500倍ぐらいまで拡大でき、0.2μcmくらいの大きさまで見える。
- ゾウリムシやヒトの卵、大腸菌といったミクロの世界の観察ができる。
- また、光の代わりに電子を用いる電子顕微鏡になると100万倍ぐらいまで拡大できる。
- 光学顕微鏡では見えないウイルスやdna、物質の原子など、ナノの世界を観察することが可能である。

観察の要素
顕微鏡を使うことによって、我々は肉眼では見ることのできないものを見て、それがどのようにできているかを観察することができる。
- 見たい大きさで見える(倍率)
- 肉眼では見えない小さなものを見るためには、対象物を拡大することが必要である。
- 見分けられる(分解能)
- 見たい部分が十分に精細に見え、正しく見分けることができるかが重要である。
- 見つけられる/はっきり見える(コントラスト)
- 明暗や色でそれらがはっきり区別できることが必要である。
顕微鏡の観察では、「見たい大きさで見える」「見分けられる」「見つけられる/はっきり見える」ことが必要である

基本的な構造と原理
一般的に生物顕微鏡は、主に対物レンズと接眼レンズ、鏡筒、ステージ、反射鏡で構成されています。
ステージの上にセットされた観察対象物は、対物レンズを通じて拡大されます。ピントが合った状態で、接眼レンズをのぞくと拡大された像を観ることができます。
一方、顕微鏡の原理は観察の対象物に光を当てて、その透過光や反射光を対物レンズおよび接眼レンズによって拡大することで観察する仕組みです。
- 光学顕微鏡は、試料を照明し、2つのレンズ(対物レンズと接眼レンズ)で拡大された像を観察するものです。
- このように、2つのレンズで試料を拡大する顕微鏡を複式顕微鏡と言います。
- 単レンズで標本を拡大する顕微鏡を単式顕微鏡と言います。

性能
生物顕微鏡は倍率の異なる対物レンズを備えていて、高倍率を用いることでより微細なものを観察することができます。倍率(M)は対物レンズと接眼レンズのそれぞれの倍率を掛け合わせたもので表します。
もっとも、顕微鏡の性能は倍率だけで決まるものではありません。顕微鏡で重要な性能が「分解能(解像度)」です。
分解能は二つの光点を分離して識別できる能力を指し、二点間が分離して見える最も短い距離で示されます。
- 光学顕微鏡の場合、可視光線の波長(400~800 nm)が影響するため、分解能は約100~200nmが理論上の限界となります。
- それ以上の分解能を必要とする場合、電子顕微鏡の利用を検討します。
- また、対物レンズの性能を決める基準として「開口数(N.A.)」が挙げられます。
- この値が大きいほど、分解能および明るさが優れていることになります。
レンズは完全な形状とすることが難しいことから、像の形のゆがみやぼけ、光のにじみといった現象を引き起こす恐れがあります。これは「収差」と呼ばれるもので、収差を補正したレンズほど性能が高いとされています。

種類
光を利用したものは光学顕微鏡、電子を利用したものは電子顕微鏡と言います。その他、微小な探針で試料をなぞって、形状・性質を観察することができる走査型プローブ顕微鏡があり、その具体的な方法により数多くの種類があります。
- 顕微鏡を分類すると、生物顕微鏡、工業用顕微鏡、実体顕微鏡に分けることができます。
- また、生物顕微鏡と工業用顕微鏡には、対物レンズが標本の上に位置する正立型と対物レンズが標本の下に位置する倒立型があります。
- 染色されたもの、あるいは染色されていない透明な生物標本を観察する顕微鏡です。
- 文字通り、工業用途(半導体ウェハ検査、液晶基板検査)や金属標本の観察に利用されています。
- 標本が立体的に見える顕微鏡です。
発達
肉眼では見えない遠くのものを見たいという人間の欲求が望遠鏡や双眼鏡を生んだように、肉眼では見えない小さなものを見たいという人間の好奇心や探究心が、顕微鏡を生み出した。
複式顕微鏡は、1590年、オランダの眼鏡商ヤンセン親子(hans&zacharias jansen)が、2つのレンズを組合わせることで物が大きく見えることを発見したことから生まれたと言われている。
その後、イギリスのロバートフック(robert hooke)が、1665年、自身で製作した顕微鏡で「植物細胞(セル:cell)」を発見、「顕微鏡図譜(ミクログラフィア:micrographia)」を発表した。
一方、電子顕微鏡、超音波顕微鏡、走査型プローブ顕微鏡(原子間力顕微鏡、トンネル顕微鏡などの総称)、原理が異なるさまざまな種類の顕微鏡が発明され、今日、「顕微鏡」といっても必ずしも「光学顕微鏡」を指すとは限らなくなっている。